News Release

カーライル・グループ及び京セラによるDDIポケット買収でKDDIと合意

2004-010

カーライル・グループ(本社:米国ワシントンD.C.、日本における代表者:安達保、以下、「カーライル」)、京セラ株式会社(本社:京都市伏見区、社長:西口泰夫、以下「京セラ」)、KDDI株式会社(本社:東京都新宿区、社長:小野寺正、以下「KDDI」)、ディーディーアイポケット株式会社(本社:東京都港区、社長:山下孟男、以下、「DDIポケット」)の4社は、本日、KDDIの子会社であるDDIポケットの事業を、カーライルと京セラのコンソーシアムが買収することで合意致しました。

本合意により、DDIポケットの事業を承継する会社(以下「新会社」)の新たな株主構成は、カーライル60%、京セラ30%、KDDI10%となります。これまでDDIポケットの81%を保有していたKDDIは事業の選択と集中の観点から、新会社への出資を10%とし、同じく従来DDIポケットの13%を保有していた京セラが今まで以上にPHS関連製品事業に注力するために30%を出資し、さらにカーライルが過半数持分保有者となります。なお、買収は現経営陣の続投を前提としており、DDIポケット現経営陣は今後も引き続き新会社の経営に携って頂くことで関係者間の合意が取れております。また、現従業員の方々についても、引き続き当該事業発展のためにご尽力頂くことを前提としており、いわゆる雇用調整等は一切想定しておらず、当面の処遇についても現従業員の方々にとって現状よりも不利にならないようにすることを基本方針としております。このように、現経営陣、現従業員が引き続き新会社の事業拡大に携わっていくことからも、今回の取引によってDDIポケットの既存のお客様やお取引先に何ら悪影響を及ぼすことはないと考えております。

DDIポケットは、その中核サービスである定額モバイルデータ通信サービスAirH”(エアーエッジ)の加入者数が年々増加するなど、モバイルデータ通信分野におけるトップ企業として業績は順調に推移しております。今回の合意締結は、こうしたDDIポケットによるPHS事業、特に法人向けモバイルデータ通信市場における中長期的な競争優位性及び拡大余地を高く評価したカーライルが、京セラとコンソーシアムを組み、KDDIに対して資本参加を打診、事業の選択と集中の観点からDDIポケット事業の最良のあり方を検討してきていたKDDIが提案の受け入れを決めたものです。

カーライルは通信分野において世界的に数多くの投資実績を有する一方、京セラはDDIポケットの主要ベンダーとしてのみでなく、PHS事業の創成期から今日まで同事業の発展のための技術開発及び製品化を通じてDDIポケットの事業を支援してまいりました。新会社は今後、両社の強力なサポートのもと、同社がすでに有する全国16万にのぼる基地局設備、マーケットリーダーとして確立されたポジション、さらにはコスト競争力をはじめとするPHSの本来的な強みを活かしつつ、通信速度の高速化をすすめ、より進化した低廉で快適な定額モバイルデータ通信サービスの提供を中心に、さらに新たなサービスを加えて積極的に事業を展開して行きます。このようなサービス提供を基本に、新会社は今後更なる拡大が期待される法人向けデータ通信市場を中心に積極的な営業活動を展開、事業の成長を目指します。

本件取引に関して、カーライルの安達マネージングディレクター、日本代表は次のように述べています。「通信分野はカーライルが得意とする事業分野であり世界的にも数多くの投資案件で成功を収めています。今回様々な角度からDDIポケットの事業を検証した結果、同社によるPHS事業は今後も引き続き高い競争優位性を保ち成長が見込めるとの結論に達しました。とりわけカーライルはDDIポケット現経営陣のPHS事業に対する知見ならびに経験を非常に高く評価しており、今後とも新会社の事業価値向上に専心して参ります。最後に、本件はカーライルがPHSという日本発の通信技術の更なる発展に貢献しうるまたとない好機と考えています。」

また、京セラの西口泰夫社長は次のように述べています。 「DDIポケットによるPHS事業は、近年、競争力のある定額モバイルデータ通信サービスの展開を通じて業績が順調に推移しておりますが、今後、新たな株主の下、新会社の事業が更に発展することにより、当社としてもこれまでの海外市場における事業拡大に加え、国内における通信システム機器事業の事業基盤を強化できると考えています。また通信分野で投資実績のあるカーライルとの共同出資は、新会社の今後の更なる発展に向け強力なサポートを提供するものと考えています。」

さらに、KDDIの小野寺正社長は次のように述べています。「DDIポケットは独自のポジションを有する好調な事業ですが、事業の選択と集中の観点を含め、弊社及びお客様にとって最良のあり方を検討してきました。そうした中、複数の候補者に打診した結果、この提案が、弊社及びDDIポケット事業の今後にとっても大変魅力あるスキームと判断し、本日の契約成立に至りました。」

DDIポケットの山下孟男社長は次のように述べています。「新しい株主の下、我々はこれまで以上に、PHS事業の可能性を具現化できると確信しております。カーライルの通信分野での世界における経験、創業からのパートナーである京セラとの連携、そして引き続きKDDIとの連携、これらを結集することによって、経営陣以下従業員一丸となって、新たな付加価値を創造して行きます。」

本案件の概要

DDIポケットは、全事業をカーライル、京セラ及びKDDIが出資するコンソーシアムが保有する受皿会社に吸収分割する一方、同コンソーシアムから現金2,200億円を受け取ります。DDIポケットがクロージング時点で有する有利子負債全額の返済等に充てられた後で残った現金が、最終的には、DDIポケットの既存株主に対して支払われ、その後、DDIポケットは清算されることとなります。

以下が想定されるスケジュールです。

2004年6月21日契約締結

2004年8月10日頃DDIポケット分割承認株主総会

2004年10月1日DDIポケット全事業の吸収分割
(新会社として事業開始)

2004年10月15日頃分割登記完了、エスクロー契約始動

2004年度内目途DDIポケット清算

本件はレバレッジド・バイアウトの形態をとっており、国内外の金融機関によるシンジケート団から借り入れるノン・リコース・ローン及び、コンソーシアム等新株主が出資する自己資本により買収資金を調達しています。DDIポケットにおける分割承認株主総会を含むその他条件を満たすと、2004年10月1日に本案件が完了する見込みです。これを受け、DDIポケットは清算されます。なお、本件のスキームは、株主の異動だけでなく、負債についても全額借り換えが行われることを踏まえ、様々なリスク・取引コストを考慮して選択したものです。